Sincerely's Blog

フェミニズムについて、ゼロから学んだことのメモ。

フェミニズムをゼロから学ぶために私が借りてきた本3冊

フェミニズムを学ぼうと思った直接のきっかけは、字幕を翻訳しているときに「あれ? これってポリコレ的にどうなんだろ?」と疑問に感じたことだった。ググってみたものの確固とした答えはなく、「ダメだ、ちゃんと勉強しなきゃ」と年貢を納めるような気持ちで近くの図書館へ。

 

私の住んでいる地域には男女共同参画推進センターなるものがあり、そこには情報ライブラリーとしてジェンダー問題に関する書籍やDVDなどが借りられる図書館がある。存在を知ってはいたもののこれまで訪れる機会は無かったのだけれど、午後9時まで開いてるのはありがたいと感じた。レファレンスの人に「この図書館のこと、どこで知ったんですか…?」と怪訝な顔で質問されるくらい人気(ひとけ)がなかったけれど。隠れキリシタンみたいだ。

 

「ジェンダー論に関してゼロから学びたいんですが、抽象的な理論とか長ったらしい歴史とか偏った主張とかではなく、初心者にわかりやすくニュートラルで、かつフェミニズムに関連する諸問題を包括的に網羅した入門書ってありませんか。なるべく発行年新しいもので。あと重くないやつ」という私の無茶ぶりにもかかわらず、司書さんが一生懸命調べておすすめしてくれたのが以下の本たち。

 

 

はじめてのジェンダー論 (有斐閣ストゥディア)

はじめてのジェンダー論 (有斐閣ストゥディア)

 

 タイトルがそのものズバリすぎて笑った。大学1年生のジェンダー論の教科書という感じ。語り口も大学の先生が教壇から喋っているようで読みやすい。知識がまったくゼロの状態の読者に、手取り足取り教えてくれつつ、自分で考えながら読ませるような構成になっている。これだけ押さえておけば、ジェンダーの話題になったとき怯まずにいられると思う。

 

よくわかるジェンダー・スタディーズ―人文社会科学から自然科学まで (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)

よくわかるジェンダー・スタディーズ―人文社会科学から自然科学まで (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)

 

 

やや大判で電車の中で読むのは難しいものの、内容的には私のニーズにぴったりだった。ひとつひとつのトピックに関しては見開きで2ページずつの紹介なのでそこまで詳しくはないけれど、それぞれの概要をつかむには充分。2010年代のジェンダー論に関係のある、ほぼすべてのトピックを網羅とはまではいかずともかなりカバーしているので、初心者にとっては地図を俯瞰するような気になる。参考文献をたどって自分の興味のある分野への手がかりになる構成になっている。これだけ押さえておけば、ジェンダーの話題になったとき相槌くらいは打てると思う。

 

ジェンダーで学ぶ社会学〔全訂新版〕

ジェンダーで学ぶ社会学〔全訂新版〕

 

 上2冊を読んでからこれを読んだので、「はいはい、知ってる知ってる」という感じで各章の内容はさらりと読み流した。こちらも大学1年生対象といった感じで非常に読みやすい。「はじめてのジェンダー論」と違い、こちらは各章ごとに執筆者が全員違うので、テイストがややバラけている感じはある。ゲストスピーカーを呼んで講義してもらっているような感じ。ただそれが逆に偏りがなくて良いと感じる人もいるかもしれない。現代の日本人が生活するうえで感じるジェンダー問題にトピックが絞られているので、「よくわかるジェンダー・スタディーズ」よりかは身近な内容。これだけ押さえておけば、ジェンダーの話題になった時質問くらいはできると思う。

 

以上、3冊の本はどれも出発点としてはとてもよくできていると思う。どれから読んでも良いと思うけれど、個人的なオススメの順に並べてみた。ジェンダーの話題になった時に意見を主張するほどの自信は、私にはまだない。ただ、自分の得意分野である翻訳に関しては他に面白い本を数冊読んだので、別エントリで紹介したいと思う。